遺留分って何??②

Q.遺留分侵害額はどのように計算するのでしょうか?

A.遺留分侵害額は、遺留分算定の基礎となる財産額(以下(A))×遺留分権利者の遺留分割合(以下(B))-遺留分権利者の特別受益分(以下(C))-遺留分権利者の純相続分(以下(D))で計算されます。

 また、(A)の遺留分算定の基礎となる財産額については、(被相続人が相続開始時に有していた財産の価額)+(贈与財産の価額)-(相続債務の全額)で計算されます。

 

 ここで大事なのは、(A)の算定の基礎となる贈与については、相続人に対しては、被相続人の死亡から10年以内の贈与、相続人以外に対しては1年以内の贈与に限られるとの期間の縛りがある一方で、(C)の特別受益分として差し引かれる贈与については期間の縛りがない(10年以上前のものも差し引かれる)という点です。

(これは(C)の遺留分権利者が受けた特別受益(民法第1046条第2項1号)については、民法1043条第1項と異なり、同法1044条第3項の適用がないためです)。

 

 そのため、遺留分侵害額請求をしようと考えている場合、自身がどれくらい生前贈与を受けていたかを10年以上遡って、事前に計算・把握しておかなければなりません。

 蓋をあけてみたら、(C)の項目でたくさん差し引かれてしまい、遺留分侵害額が0であるといった場合もありうるため、注意が必要です。

 遺留分の計算については、ややこしい部分もありますので、お気軽に弁護士に相談ください。