契約書・社内規則は「立法慣行」を参考に

Q.契約書や社内規則の表現について、迷うことがあります。表記のルールがないのでしょうか。語の選択や表現の参考になる本があったら教えて下さい。今は、国語辞典などを参照しています。

A.法的文書については、立法慣行を参考にしてみましょう。

 契約書などの対外的な文書には法的効果が発生するものが多いです。就業規則を含む社内規則も万一紛争が生じたときには、規定の表記について、法的な意味や効果が争いになることがあります。

 

 これらの法的効果が発生しうる文書について、一般的には、法律上表記のルールがあるわけではありません。しかし、紛れがないような表現をすることが重要です。

 

 このような「条文」を作成するときには、国が法律を作るときに従っている「立法慣行」を参照すると、法的な

意味での紛れが生じにくくなります。

 

 立法慣行とは、法制的な面から内閣を保佐する機関である「内閣法制局」が行っている閣議に付される法律案などの審査における慣行です。法令案はこれに従って策定することが求められています。残念ながらルールが正式に公表されているわけではありませんが、内閣法制局経験者が編集する書籍を参考に行われていると言われています。

 

 最も重要なルールブックとして、法制執務研究会/編『新訂 ワークブック法制執務 第2版』(ぎょうせい、2018年)https://shop.gyosei.jp/products/detail/9593 があります。

 

 法令に用いられる単語の意味については、歴代内閣法制局長官が共編者となっている『法令用語辞典〈第11次改訂版〉』(学陽書房、 2023年)https://www.gakuyo.co.jp/book/b619667.html が重要視されています。

 

 弁護士や裁判官などの法の専門家は、法律を解釈することになじみがありますので、契約書や社内規則についても、「立法慣行」に従っていることを前提に考えがちです。そこで、いざ紛争となったときには、これらの立法慣行を元ネタ(参考)にして条文を「解釈」される可能性があります。紛争を予防する意味でも、万一紛争になった備えとしても、条文作成時の表現に迷ったときには、これらの立法慣行がわかる書籍を参照してみましょう。

 

 もちろん、条文の意味やワーディングのチェックには、その分野に長けた弁護士に相談をしてみることも有用です。

 

 当事務所では、契約書や社内規定のチェックはもちろん、仕事上のちょっとしたお悩み事相談についても、法律相談や顧問弁護士としてアドバイスをさしあげています。お気軽にお声がけください。

 

(料金の目安)

法律相談:30分6000円(税込)〜

企業の顧問契約:月額3万3000円(税込)〜