Q.私のクリニックの患者さんが亡くなり、ご遺族が、医療事故として調査を求めています。どのように対応すべきですか?
A.医療事故調査制度の報告対象と判断した場合は、調査を行い、遺族に調査結果を説明します。
医療事故の原因究明及び再発防止を図り、もって医療の安全を確保することを目的として、医療事故調査制度が設けられています。病院、診療所又は助産所の管理者は、医療事故が発生した場合には、遅滞なく、医療事故の状況等を、医療事故調査・支援センターに報告しなければならず、すべての医療機関が対象です(医療法6条の10第1項)。
報告対象となる医療事故は、当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡、死産であって、当該管理者が当該死亡等を予期しなかつたものとして厚生労働省令で定めるものです(医療法施行規則1条の10の2第1項各号)。
該当性の判断は、病院等の管理者に委ねられていますが、管理者が医療事故該当性を判断するに当たっては、当該医療事故に関わった医療従事者等から十分事情を聴取した上で、組織として判断することが求められています(平成27年5月8日 医政発0508第1号)。
なお、遺族が死亡事故を報告するルートは設けられていません。
東京地判令和3年9月9日
医療保護入院患者が,入院から8日間身体的拘束の措置を受けた後に心停止に至り,肺血栓塞栓症により死亡した事案において、医療機関は、医療法上の医療事故調査によって死因解明する義務を負うものではなく、同義務が診療契約上の債務となる余地はないと判断した。
大阪地判令和4年4月15日
人工股関節全置換術の翌日に、脳梗塞の治療のために血栓溶解剤を投与し、その後、死亡した事案において、禁忌薬剤を投与したことによる過失責任に争いはなかったが、医療法の医療事故の報告懈怠を理由に民事上の責任を追及できるかどうかについて、仮に、病院の管理者による適切な医療事故の報告がされなかったとしても、これをもって、患者の遺族の権利利益を違法に侵害するものとはいえないと判断した。
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