Q.親から相続した倉庫兼店舗の建物を賃貸しています。賃借人はそこで店をしていましたが、最近は店も休みがちで、賃料の支払いも何度も遅れており、現在も1か月分遅れています。私は定年退職後に、そこで自分の店を開業したいのですが、立退料を払えば出て行ってもらえるでしょうか?立退料は、いくら支払えばよいのでしょうか?
A.一般的には一定の立退料の支払いが必要ですが、ケースによります。ご相談の内容ですと、立退料の支払いなく、出て行ってもらえる可能性もあります。弁護士に詳細な経緯を伝えて、ご相談ください。
借地借家法28条によると、大家(賃貸人)からの解約の申入れには、「正当な理由」を必要としています。
この「正当な理由」は、
①大家(賃貸人)と店子(賃借人)が建物の使用を必要とする事情
②賃貸借に関する従前の経緯
③建物利用状況
④建物の現況
⑤立退料の提供の有無や額
を総合的に考慮して判断されます。
①〜④の事情で「正当な理由」が十分に認められる場合もあります。
たとえば、
①真に大家がその場所を使う必要があり、
②店子が迷惑行為をくりかえしていた経過があって、
③現在は店子はほとんどその建物を使用しておらず、
④老朽化のために大規模な修繕が必要な場合です。
このようなケースでは、例外的に、立退料の申出なく解約が認められることがあります。
ただし立退料なしで立ち退きが認められるのは例外的で、多くのケースでは一定の支払いが必要です。
立退料は、立ち退きによって店子(借家人)が失うことによる借家権の価額や、立ち退きによって店子(借家人)が被る損失を補償するという考え方で算定をすることが適切とされています。
裁判例では、
・借家権の価額については、不動産鑑定士に頼むなどして「不動産鑑定評価基準」に基づく算定がおこなわれます。
・借家権の価額以外の損失について、不動産鑑定評価基準には定めがないため、公共事業における土地収用時の基準である用地対策連絡会(用対連)の「公共用地の取得に伴う損失補償基準」を転用するのが一般的です。
このため、立ち退き交渉を行う場合も、裁判所では不動産鑑定評価基準や用対連基準が参照される可能性があることを念頭において交渉をすすめていくのが良いでしょう。
基準の適用には専門的な部分が多く、そもそも立退料が必要ではない場合もあります。まずは、不動産の立ち退きに詳しい弁護士に相談して、交渉を依頼するのがおすすめです。
不動産業者や「立ち退き業者」に交渉を依頼すると弁護士法に違反する場合があり、かえって、法的に不利にな立場にもなりえますので、注意が必要です。
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